理学部同窓会のあゆみ

 

 理学部は1887(明治20)年5月に熊本に設置された第五高等中学校(五校寮歌 武夫原頭に草燃えて:熊大フィル/合唱団&教育学部音楽科/指揮 吉永誠吾)の理科と、1897(明治30)年に設置された工学部が1906(明治39)年に熊本高等工業学校として分離、独立し、1944(昭和19)年に熊本工業専門学校と改称した一部を併合する形で、1949(昭和24)年5月に新制熊本大学の一学部として設置された。 理学部同窓会は、理学部発足から10年が経過した1959(昭和34)年3月に、当時の大原英一理学部長と田中国雄総務係長(両氏とも名誉会員)が中心となって発足した。主な目的は、同窓会会員同士の親睦・相互連絡・学術研究の向上発展・社会貢献および理学部行事・準会員の就職活動支援、同窓会報発行による会員への理学部近況の報告ことなどである。同窓会報第1号は同窓会発足の年に発行され、第10号までは毎年発行、第11号から第14号までは隔年発行、第15号からは3年に一度の発行となり、2010(平成22)年3月の第25号を発行するに至った。2004(平成16)年4月に理学部は数理科学科、物理科学科、物質化学科、地球科学科、生物科学科、環境理学科の6学科制を廃して理学部理学科一学科制に改組したことから(表1.学科名の変遷参照)、旧学科同窓会である数学科同窓会、熊本大学化学学士会、 同生会どうしょうかい(生物学科同窓会)、熊友会ゆうゆうかい(地学科同窓会)の存続が困難となった。理由は、旧5学科(数理科学科、物理科学科、物質化学科、地球科学科、生物科学科)に対応するプログラムで卒業研究に相当する特別研究A、Bを履修すれば、卒業時に各プログラム修了となる。しかし、環境理学科に対応するプログラムは設けなかった。さらに、4年次の特別研究A、B(卒業研究)が選択科目となったため、どのプログラムに所属しなくても卒業要件(124単位)さえ揃えれば理学部卒業となる会員も出て来て、旧学科を母体とする同窓会を理学部同窓会に併合、吸収する必要に迫られた。また、2010(平成22)年以降、4年次卒業研究が必修科目となり、全ての準会員が旧5学科に対応する5プログラムに所属することになった。さらに、2011(平成23)年にプログラムを廃してコースに改め、現在に至った。そのため、2011(平成23)年以降は同窓会報(教室便り・会計報告)と会員名簿を分離・分割し、同窓会報は毎年発行、同窓会名簿(会員名簿)は3年毎に発行することとし、さらに同窓会名簿には過去3年間の同窓会報(教室便り・会計報告)を再掲することにした。ちなみに、旧熊本大学化学学士会でも同様の同窓会報「しょくばい」を1951(昭和26)年第1号から毎年発行し、第3号より「触媒」と改称して在校生・卒業生・教官の交流の場を提供していた。1973(昭和48)年の第21号から隔年発行、1978(昭和53)年の第23号で一旦休止した。その後、1989(平成元)年に第24号として復活し、1996(平成8)年の第25号が最後の発行となり、旧熊本大学化学学士会は理学部同窓会に吸収された。数学科同窓会は1954(昭和29)年に稲葉三男教授(当時)を中心に発足。1968(昭和43)年に「瑪得瑪弟加」創刊号発行。1988(昭和63)年に数学科同窓会会報第1号を発行し、第1回同窓会総会が執り行われて以来、1994(平成6)年に40周年記念大同窓会、2005(平成17)年に50周年記念大同窓会、2015(平成27)年に数学科同窓会60周年記念総会と、今日まで数学科独自の同窓会活動は続いている。生物系同窓会「同生会」と地学系同窓会「熊友会」も、それぞれ今日まで同窓会活動を存続している。なお、理学部同窓会名簿は第29号をもって冊子体の発刊を終了し、令和4年4月より電子版名簿管理へ移行した。また、生物系同窓会「同生会」は令和5年3月をもって解散予定である。
 同窓会長は発足から1996(平成8)年までは理学部長が務めたが(表2.歴代理学部同窓会会長参照)、1997(平成9)年に生物学科第1回卒の今江正知氏が同窓会長に就任し、2010(平成21)年3月まで務めた。その後、2010(平成21)年4月から数理科学講座の古島幹雄教授(昭和51年卒)が務め、2014(平成26)年3月からは化学講座の西野宏教授(昭和54年卒)が務めている。同窓会の理事はこれまで、理学部同窓生の教員が主となって構成していた。しかし、近年では同窓生教員が少なくなり、理事の選出が難しくなった。そのため、現在では学外の理事を加えて、同窓生に限らず理学部の各コースから理事をお願いしている。これまでの卒業生会員数は11,791名(令和4年現在)、旧職員数は489名である。
 熊本大学では、平成21年10月に部局長が推薦する熊本大学名誉フェロー称号授与制度を制定した。熊本大学名誉フェローとは、本学の運営及び経営に顕著な貢献があった者、本学に在学した者又は勤務した者のうち、政治、経済、芸術、文化、スポーツ等の各界において顕著な功績があった者、特に優れた業績により国内外で高い評価を受け、本学において顕彰することが適当と認められる者に対して熊本大学学長より授与される。また、平成24年7月には同窓会会長が推薦する熊本大学卒業生表彰要領を制定し、熊本大学の発展又は社会からの理解促進につながる顕著な功績のあった本学卒業生に対し、熊本大学長が熊本大学卒業生を対象に表彰している。熊本大学卒業生表彰は、社会における諸活動により、本学の発展又は理解促進に寄与した者、熊本大学同窓会連合会及び各学部等の同窓会の活動に顕著な貢献を行い、本学の発展に寄与した者に対して熊本大学学長より授与される。これまで理学部同窓会会員として、名誉フェロー4名(表3)、卒業生表彰18名(表4)を輩出している。

 

 
 

 

表1.学科名の変遷

 

  数学教室 物理教室 化学教室 地球環境科学教室
(略称 地球)
生物学教室 環境理学科
昭和24(1949)年以降 数学科 物理学科 化学科 地学科 生物学科  
平成2(1990)年以降 生物科学科
平成5(1993)年以降 地球科学科
平成9(1997)年以降 数理科学科 物理科学科 物質化学科 環境理学科
平成16(2004)年以降 理 学 科
数理科学プログラム 物理・化学プログラム 地球環境プログラム 生物環境プログラム  
平成19(2007)年以降 理 学 科
数理科学プログラム 物理プログラム 化学プログラム 地球環境プログラム 生物環境プログラム  
平成23(2011)年以降 理 学 科
数理科学コース 物理コース 化学コース 地球環境コース 生物環境コース  

(注)↓は上の欄と同じ学科名を意味する。

 

昭和24(1949)年理学部は五学科制で発足した。平成9(1997)年4月から平成16(2004)年3月まで六学科制を取り、平成16(2004)年4月から一学科制となり、教育プログラムが導入された。なお、平成16(2004)年から平成18(2006)年までに入学した数理科学プログラム卒業生は数学教室または物理教室の所属、物理・化学プログラムの卒業生は物理教室または化学教室の所属である。その間の学科の名称の変遷を下表に示す。
同窓会員名簿では旧学科名、教育プログラム、教育コースなどによる区分けを教室(講座)ごとにまとめる。名称変遷に伴い卒業時に旧学科、教育プログラム、教育コース所属などの卒業生が混在する場合があるが、所属教室としては一つである。なお、環境理学科は例外として教室(講座)名ではなく学科名をそのまま用いる。

 

 

 

 

表2.歴代理学部同窓会会長

 

1959(昭和34)年 大原英一 (化学科)  
1962(昭和37)年 野口 彰 (生物学科)  
1969(昭和44)年 斉藤林次 (地学科)  
1973(昭和48)年 大久保武男 (数学科)  
1976(昭和51)年 井上 覚 (生物学科)  
1978(昭和53)年 上西啓祐 (物理学科)  
1986(昭和61)年 伊東鎮雄 (生物学科)  
1990(平成元)年 津末昭生 (地学科)  
1992(平成4)年 住澤幹夫 (物理学科)  
1993(平成5)年 石倉成行 (生物科学科)  
1993(平成5)年 出口俊雄 (化学科) (第1回、昭和28年卒)
1994(平成6)年 弘田禮一郎 (生物科学科)  
1995(平成7)年 櫃田倍之 (数学科)  
1997(平成9)年 今江正知 (生物学科) (第1回、昭和28年卒)
2010(平成21)年 古島幹雄 (数理科学講座)  (第24回、昭和51年卒)
2014(平成26)年 西野 宏 (化学講座) (第27回、昭和54年卒)

 

 

 

 

表3.熊本大学名誉フェロー 理学部卒業生一覧

 

平成24年度 船津昭信 氏(第17回、昭和44年卒化学科)
一般財団法人化学及血清療法研究所名誉理事長・名誉所長
平成25年度 門岡良昌 氏(第28回、昭和55年卒数学科) (株)富士通研究所
平成26年度 桑野幸徳 氏(第11回、昭和38年卒化学科) 太陽光発電技術研究組合名誉顧問
平成30年度 佐々本 一美 氏(第22回、昭和49年卒化学科) (株)同仁化学研究所 技術顧問

 

 

 

 

表4.熊本大学卒業生表彰 理学部表彰者一覧

 

平成24年度 今江正知 氏(第1回、昭和28年卒生物科)
元 熊本大学教授
熊本記念植物採集会名誉会長、熊本自然環境研究会会長
平成25年度 桑野幸徳 氏(第11回、昭和38年卒化学科)
太陽光発電技術研究組合理事長
平成26年度

出口俊雄 氏(第1回、昭和28年卒化学科)元 熊本大学教授理学部
今村遼平(第11回、昭和38年卒地学科)アジア航測株式会社 名誉フェロー・顧問

平成27年度 紙谷正夫 氏(第4回、昭和31年卒物理学科)
熊本総合医療リハビリテーション学院非常勤講師
平成28年度 佐々本一美 氏(第22回、昭和49年卒化学科)
(株)同仁化学研究所 技術顧問
平成29年度 大貝 聖子 様(第17回、昭和44年卒数学科) 元 明治学園高校理事・教諭
藤木素士 氏(第6回、昭和33年卒生物学科)元 熊本大学・筑波大学教授、 元水俣病熊本県環境センター館長。
熊本県近代文化功労者

平成30年度

長谷義隆 氏(第14回、昭和41年卒地学科) 元 熊本大学教授理学部。天草市立御所浦白亜紀資料館長
入江照雄 氏(第6回、昭和33年卒生物学科)熊本生物研究所 代表。元 熊本県高等学校教諭。第6回くまもと環境賞受賞

令和元年度

安仁屋眞昭 氏(第11回、昭和38年卒数学科) 元 九州芸術工科大学・助教授、沖縄古歌謡「王府おもろ」伝承者、

沖縄県文化功労者

宮川英明 氏(第18回、昭和45年卒物理学科) 元 熊本高等専門学校・校長、日本伝統工芸硯継承者、

熊本県伝統工芸館賞・東京都教育委員会賞受賞

令和2年度

古澤 二 氏(第6回、昭和33年卒地学科)八洲開発株式会社、千代田工業株式会社

令和3年度

伊藤喜久男 氏(第17回、昭和44年物理学科)熊本総合医療リハビリテーション学院 非常勤講師

古島幹雄 氏(第24回、昭和51年数学科)放送大学熊本学習センター所長

令和4年度

恒冨赳彦 氏(第11回、昭和38年卒地学科)建設コンサルタント 

内野明徳 氏(第16回、昭和43年卒生物学科)熊本大学名誉教授

令和5年度

巨海玄道 氏(第17回、昭和44年卒物理学科)九州大学名誉教授、久留米工大名誉教授

令和6年度

福田達也 氏(化学科第36回、昭和63年卒)旭化成メディカルMT(株)代表取締役社長 兼 旭化成メディカル(株)生産技術統括本部長、旭化成メディカ ル(株)執行役員・取締役兼常務執行役員、旭化成(株)執行役員兼延岡支社次長

吉田智明 氏(化学科第36回、昭和63年卒)三井化学アグロ(株)執行役員 研究開発本部、三井化学(株)市原工場副工場長・大牟田工場管理部長



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